『拳銃(コルト)は俺のパスポート』

封切時(1967年)に、『新男の紋章』と二本立てで見ているが、その出来に驚嘆した大傑作。


監督の野村孝は、前作『殺るかやられるか』がとても良かったので、期待して見に行ったが、本当に最高だった。
映画館で見るのは、久しぶりだが、最後まで堪能した。

殺し屋・宍戸錠が、横浜の組長嵐寛寿郎を銃殺するが、対立する組とは和解してしまい、邪魔になった彼ら(宍戸と弟分のジェリー・藤尾)を殺しにくる。
宍戸は、ジェリーを逃がした後、埋立地(多分、まだ工事中の横浜の本牧D突堤)で、彼らと対決して勝つ。勝つ方法は、実はコルトではないのだが、ここでは書かない。
嵐の息子で二代目になるのが、杉良太郎。

この映画は、急に封切りに穴があいてしまい、急遽2週間で作った作品なのだそうだが、宍戸も「日本のハードボイルドで最高作」と言っている傑作。
ヒロインが小林千登勢であることからも、いわゆるB級作品である。本来なら、芦川いづみの役どころだからだ。
硬質なモノクロの映像、そして伊部晴美の音楽が素晴らしい。

この宍戸の殺し屋像は、鈴木清順の問題作『殺しの烙印』の主人公に引き継がれるのである。

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コメント

  1. 広い世界は より:

    指田氏は刺激的だ。鈴木清順の「殺しの烙印」はよく判らなかった。野村孝作品の山本周五郎の「さぶ」小林旭と長門裕之演は傑作だ(モノクロ)。プログラムピクチャーから傑作は生まれる。清順の今東光の「悪太郎」は山内賢と和泉雅子演の青春映画の傑作だ(モノクロ)。2週間で撮るとは撮影所ならではだか寝る時間がない、無謀だ。今なら無理。日活終焉期の旭主演の「ネオン警察シリーズ」の1本は野村監督だった。「007」の日本版で快作だった。