私が生まれ育った地である、池上本門寺に行き、有名人のお墓をお参りした後、代々木公園のラオス・フェスティバルに行く。
本門寺は、まず山上の本堂に参拝した後、五重塔近くの幸田露伴の墓に。
ここはその娘の幸田文、さらに露伴の妹で音楽家幸田延らの墓もあり、広い一角が幸田家の墓地になっていた。
さすがに明治の文豪である。
それと対照的なのが、すぐ近くにある市川雷蔵の墓で、太田家之墓とあるだけで、ちよっと見ただけではあのスターの墓とは思えない。
市川雷蔵は、映画の中では光輝いていたが、普段化粧もせずにいると、まるで銀行員のような特徴のない普通の人間だったと言われているが、そのお墓も、まさにそうした彼の素顔をよく反映した大変さりげないものだった。
本門寺を下りて大坊に行く。
ここには、溝口健二、その隣には新派の名優花柳章太郎のお墓があった。
溝口健二は、私が最も尊敬する映画監督なので、墓前で写真も撮っておく。
溝口には墓碑があり、花柳にも、川口松太郎の書による墓碑があった。
役者の方が立派なのは、やはり表で目立つのが仕事だからだろう。
この大坊の本行寺には、娘さんがいて、私と小学校は同じ学年だった。
背の高い大人しい日本的な美人だったと記憶している。
その後、池上線と山手線で代々木公園に行く。
途中、五反田で池上線から山手に乗り代えたが、エスカレーターが出来ていた。
東急池上線五反田駅が、JR山手線の遥か上にあるのは、山手線を越えて池上線をさらに白金方面に延伸させる目論見があったからだが、実に無謀な計画である。
勿論、エスカレーターができたのは良いことである。
代々木公園の中央広場には、きちんとした野外ステージができていて、そこを中心に「ラオス・フェスティバル」が、行われていた。
物販、飲食のテントも多数あるが、ラオスは人口約630万、産業のほとんどない国なので、出店のものもラオスとは関係ないものばかりなのは、仕方がないところだろう。
メイン・ステージでは、関西のバンドらしいノーズライディングが終わり、やっとラオスの女性歌手ALUNAが出てくる。
小柄な若い女性歌手で、レベルは悪くないが、曲調は香港的である。
しゃべりでは英語も使っていたので、多分香港で活動しているのだろうと思った。
ラオスのような小国では、自国のマーケットが小さいので、他国を通じて歌うしか商業的には方法がないのだろう。
男性のARDSANAというお兄ちゃんも出てきて加わったが、これはあまり感心せず、はっきり言って下手。
人口1億を超える大国日本は、あらゆる意味で実は大変幸福なのである。
CELLSというハードロック・バンド(勿論ラオスである)が出てきたところで帰る。
今や、世界中のどこに行ってもあるのは、ハードロック・バンドだろう。
「ロックは世界を越える」だろうか。