「刑務所に行ったことがある」というと皆驚くが、入所したわけではなく、見学に行ったのである。
群馬と福島の2箇所に行ったことがある。
日本全国には、約5万人の保護司がいる。
保護司は、犯罪を犯し「保護観察処分」になった者を保護観察するもので、本来は保護観察所の監察官が行うのだが、人数がきわめて少ないので、実際は各地域のボランティアである保護司が行っている。
保護司は、大体は各区毎に会を組織しており、私も横浜市のある区で会の事務局をやっていた。
そこで、毎年の行事として刑務所見学に行った。
感想から言えば、やはりあまり入りたくないところである。
さすがに入ると緊張する。
群馬では、内部の作業場も見たが、皆黙々と木工をやっていた。
また、所内を歩行する時は、腕を90度に上げ、足もきちんと上げて、まるで人形のように歩く。
食堂のメニューも見たが、きわめて質素なものだった。
粗食なので、「刑務所に入ると糖尿病等の生活習慣病が治る」という冗談もあるが、本当で生活習慣病にはならないレベル、町の大衆食堂の一番安いメニューを想像すれば良いだろう。
よく酒場のよた話で、「刑務所に入っているやつらは税金で贅沢してけしからん」というのがあるが、あれは全くの嘘である。
そして、刑務所で一番問題になっているのは、「高齢化」である。
約20年前に行ったときには、40代後半と聞いたが、現在は60代を越えていると思う。
まさに、刑務所は社会の縮図である。