「速記で話していたので、分からなかった」

テレビ朝日のワイドショーで国会の速記について紹介していた。
日本の国会及び地方議会の会議録は、速記法によることになっている。
速記は、英語ではステノグラフィーで長い歴史があるようだが、日本では明治時代に田鎖綱記が始めた。
この速記法により、若林疳蔵が三遊亭円朝の人情話を記録し本として販売した。
この文体をヒントに、二葉亭四迷が、言文一致体の描写を始めたのは有名である。

地方議会も記録は速記法なので、横浜市会にも勿論速記者がいる。
近年では、予算減額により外部委託もしているようだが、以前は速記者全員が正規職員だった。
彼らは、早稲田式速記学校や衆参議院の養成所を出て、採用された人たちだった。
そして、あるとき、その速記者の間で恋が生まれ、結婚することになった。
勿論、それは良いのだが、専門職なので、他の職場への異動も限定されて大変で、さらに欠員を補充せねばならず、議事課長から議事係長は、
「なぜお前は、二人が一緒になりそうなことが分からなかったのか」と問い詰められたそうだ。
そのとき、議事係長は言った、
「二人は速記で会話していたので、俺にはわからなかったのだ」と。

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