1961年1月の東宝の正月映画、その性か、多くのスターに顔見世的映画で、明るく楽しい感じだが、よく考えると結構重い内容である。
銀座の洋品店の若旦那三橋達也は、美人妻草笛光子がいるのに、店員の北あけみとできて家出してしまう。
北あけみの友人の団令子は、老舗料理屋の娘で、草笛の妹、もう一人の友達の原知佐子は、団令子の店の隣で、色男の宝田明と喫茶店をやっている。
北から、妻のある男を好きになったことの相談を団と原はかけられ、二人共「やっちゃえ!」と北をけしかけたが、その相手が姉の夫三橋達也とは驚く。
さらに、原知佐子は、宝田の若い頃の友人で、歌手で売れてきた水原弘に付いて駆け落ちしてしまう。
もちろん、『黒い花びら』をクラブで歌うシーンもある。
水原弘の不良的ムードは東宝の健全さには合わず、水原は大映作品に出るようになり、ここでの勝新太郎との出会いが、結果として水原を若死にさせる。
団令子は、真面目なサラリーマン小泉博から求婚されるが、受け入れず、本当は宝田明が好きだったが、実は草笛と宝田が相思相愛だとわかる。
最後は、新入りのサラリーマン加山雄三と結ばれることを示唆して終わる。
喫茶店のいも姉ちゃんとして浜美枝が出ていて、隣の店の板前の大塚国夫と出来てしまう役を演じている。
監督は千葉泰樹で、明るい作品が専門だが、成瀬巳喜男の『めし』の監督は当初は千葉だったが、病気で成瀬に代わったように結構暗さがある。
併映は、豊田四郎監督の大好きな『如何なる星の下で』で、山本富士子と池内淳子の美しさ、ラストの酒乱の母親三益愛子の暴れ方を堪能した。
さすがは、ベテラン喜劇女優である。
今度、銀座シネパトスは閉館するが、音響設備は良くなく、小さな声の台詞がよく聞こえなかった。