県立図書館と音楽堂は隣接している必要があるだろうか

横浜市西区の紅葉丘には、県立図書館の他、県立音楽堂、県立青少年センターがあり、ここを「紅葉丘文化センター」よんでいる。
かつては、県の婦人会館やユースホステルもあったが、随分昔になくなった。
なぜだろうか、理由は簡単で、丘の上にあり、行くのが不便だからである。
そもそも、高い場所には文化がある、というのは日本だけのもので、しかも古い考え方である。
それは、文化をなにか高く、崇高なものとして崇め奉る考え方だが、20世紀以降、文化はすべて大衆文化になっているので、今や無効な思想である。
アメリカには、高い場所が高級なエリアだという思想はなく、南米に行けば、高級住宅は、低地にあり、山の上は、ブラジルに典型なようにファベーラとして大体がスラムである。

さて、もう一つおかしいのは、音楽堂と図書館が隣接してあることだ。
同じ文化施設だろうが、この音楽の場と、図書館は、よく考えてみるとほとんど有機的な関係がない。
だから、すでにリニューアルした音楽堂はともかくとして、図書館は、あの場所にある必要はないと思う。
もっと交通至便な平地に移転、再整備した方が良いと思える。
事実、長洲県政の末期、1990年代に、紅葉丘再整備計画があった。
そこでは、まず図書館を県央地区に移転させる。そして、その跡地を利用して大規模な「劇場コンプレックス」を作る、というものだった。
それは、横浜市にいて、その後神奈川県に移った岡村氏が作成したものを、見せられて読んだことがあるのだ。
それは、長洲知事が退任したことと財政難で、実現することはなかったのだが、今考えると優れたアイディアだったと思う。

むしろ、あの音楽堂と青少年センターに隣接した場所には、現在市民の文化・芸術活動で一番に必要とされている、練習場、稽古場、スタジオなどにすれば良いと私は考える。
これなら前川國男の設計に大きな手を加えることもなく、内部を改修するだけで十分に再利用できるはずだ。
そうすれば、音楽堂、青少年センターとの有効な連携も図れるはずである。

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