全中について

全国の農協の総元締めである全中が「改革」されるそうだ。
ご苦労様なことであるが、自民党にとって本当に良いのかはよくわからない。
小泉内閣が、「郵政改革」で成功したように、安倍内閣は農協改革で、国民の支持を得ようとしているように見える。
だが、そう行くのだろうか。
郵便局は全国民に関係があるが、農協は、今やほとんどの国民にとって無縁だからである。
この問題は、内閣官房長官の菅義偉氏の悲願なのだという説もあり、いよいよ安倍晋三は、菅長官の操り人形化しつつあるように見える。
「戦後70年問題」など、野党から批判されそうな課題よりも、あまり国民に関係のない問題で点を稼いで、マスコミ等の支持を受けようと言う方針なのだろうか。

さて、ほとんどの国民にとって無縁な農協と書いたが、実は私には縁がある。
亡くなってしまったが、私の二番目の姉の夫、つまり義兄が全国農協中央会、現在の全中の固有職員だったのだ。
非常にまじめな方だったが、北海道の生まれのせいか、大変にお酒の好きな人で、言ってみれば酒豪だった。
北海道の虻田郡、洞爺湖の近くの村に生まれ、多分幼いころはかなり苦労されたと思うが、北海道大学農学部に進学された。
その村で最初に大学に入った人だったそうだが、彼の甥も、函館ラサールから東大法学部を出て検事になったのだから、優秀な家系だったのだろう。
大学時代は、当時のことで当然にも学生運動もやったようで、北海道では就職できず、東京に来て農協中央会に就職された。
農協中央会では、順調に出世し、固有職員としては最高の地位にまで上られて、定年退職で、全国厚生連に再就職された。
この厚生連というのも、都会の人は知らないだろうが、農協が運営する病院連合で、赤十字、済生会、厚生年金病院などと並び、全国の病院連合としては最大規模の一つである。
だが、そこに「天下り」してから最初の正月休み明けの朝、1月の雨の朝、職場への出勤途中で倒れて亡くなられた。
心筋梗塞だった。
もともと酒とタバコを常習し、血圧も高く、しかも太っていたので、「生活習慣病」の当然の結果ではあった。
姉によれば、「自分の体は丈夫」と思い込んでいたので、ろくに生活習慣病への対処もしていなかったとのこと。

自宅のある東武野田線豊春駅の手前で倒れ、近くの店の方が気づいてすぐに救急車を呼んでくれたそうだが、即死に近い状態だったようだ。
そのために元々胸板が非常に厚かったが、葬式の最後で棺桶に入れる時、その胸が盛り上がっていて、なかなか棺に入りきらず、葬儀社の人が胸の肉を押してやっと入ったことを今でもよく憶えている。
要は、まったく健康な状態で亡くなられたので、肉体は壮健な状態だったわけだった。
長期に療養された方の場合などは、肉が落ちて、棺桶にスカスカの状態に納まってしまうこともあるのとは正反対だった。
葬式は、豊春の自宅で行われ、勿論私も行ったが、普通の市民としてはかなり盛大なもので、近所の方は非常に驚いたそうだ。
中には、農林大臣だった羽田攻からの花輪もあった。
2人の息子たちも、もうすでに大学を出て就職しており、姉は楽しく日々を過ごしているようだ。
義兄の死も、平成7年のことだから、すでに20年前のことになる。
今回の「改革」を義兄は、どのように見ているのだろうかと思う。

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