作曲家で、映画音楽も多数書かれた真鍋理一郎氏が亡くなった、90歳。
真鍋理一郎というと、すぐに大島渚の作品の、と来るが、彼は結構様々な作品の音楽を書いている。
川島雄三の『洲崎パラダイス』などは普通の方だが、東宝の『ゴジラ対へドラ』などはかなり変わった作品だろう。
だが、もっとすごいのは、日活の神代辰巳監督のデビュー作『かぶりつき人生』のボサ・ノヴァ風の音楽である。
この映画は、ともかく分からない映画で、公開時以後ずっと見ていなかったが、数年前に見て、「すごく新しい映画だったな」と思った。
ボサ・ノヴァ風の主題歌は、恐らく主演の殿岡ハツエの歌唱だと思うが、彼女は日劇ミュージック・ホールのダンサーだったが、テレビにもよく出ていた歌も歌っていたと思う。
この映画の併映は、磯見忠彦監督の『ネオン太平記』で、これは大阪のアル・サロの話で関西弁、『かぶりつき人生』も関西弁で、どちらもモノクロで、冴えないなと思ったが、当時日活最低の成績だったらしい。
数年前に、大島渚の松竹時代のことを再現した記録映画があり、その中で、真鍋理一郎氏も出てきて、小田原の古い日本家屋に一人で住んでいて、「あれっ」と思ったものだが。
彼は確か、
イスラム教徒だったはずで、どのように弔ったのだろうか気になるところだが。
日本映画界に多大な貢献をされた方のご冥福をお祈りしたい。