先日紹介したネットテレビのビデオニュースの「やはり自民党は終わっていた」の中で、同志社大の森准教授も言っていたが、選挙での各党の得票数は、意外にもそれほど変化しないものである。
彼は、それを「絶対得票率」(各党の得票数を有権者数で割ったもの)とし、これは政治学の常識で、マスコミは「相対得票率」(得票数を投票数で割ったもの)を使うが、これは意味がないとしている。
確かに、私がいる横浜でも、各区別各党派の得票数は、地方選、国政選挙を通じてほとんど同じである。
ただし、2年前の郵政民営化問題のときのような、ポピュリズム選挙の時は大例外であって、それ以外の通常の選挙では、多くは変化しないのである。
森氏によれば、民主党はこの10年間くらいも、また大都市、地方もすべてほとんど絶対得票率は約20%くらいで変わらないのだそうだ。
それに比べ、自民党は大都市、地方とも変化が大きく、つまり組織のない、ポピュリズム政党になっていたのである。
普通、自民は地域の各組織に依拠していて、民主党は大都市の浮動票に依存している、と言われてるが、実態はむしろ民主のほうが組織があり、自民の方が組織がなくなっていたのである。
その傾向は、「長期低落化」と1960年代から言われてきたが、それを決定的にしたのが、小泉政権の「民営化路線」である。
この中で、郵政民営化や地方の公共事業のカットに代表されるように、従来自民党の支持組織であった郵便局やゼネコン等の支持基盤を自ら崩したのだ。
まさに、小泉前首相が自民党総裁選の際に叫んだように「自民党をぶっ壊した」のである。
こういう状況で、安倍自民党がどのように組織回復と支持基盤構築をするのか、極めて興味深い。