関根恵子はアデルになったと思った。

1970年代、有楽町の映画館でフランソワ・トリフォーの『アデルの恋の物語』を見てロビーに出ると、とてもくらい可愛い子がいた。関根恵子だった。『アデルの恋の物語』は、ビクトル・ユーゴーの娘アデルが、叶わぬ恋に大西洋の孤島まで追いかけて行く秀作だが、悲惨な恋物語だった。しばらくして、突然劇を降りた関根恵子は、恋人と海外に遁走した。

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