『16才の戦争』を見て

松本俊夫は、高校・大学時代の私の最大のアイドルだったが、この監督は、実は「眼高手低」であると知ったのも、高校3年のときであった。
彼の評論集『映像の発見』は、ベストセラーであり、当時映画関係の本としては破格に売れたのだそうだ。私も、偶然高校2年生の冬に本屋で見て買い、全編をほとんど暗記するほど読んだ。

彼の映画を最初に見たのは、60年安保のときのプロパガンダ記録映画『安保条約』で、政治的プロパガンダと前衛的手法が混在した大変奇妙な映画だった。
そのとき、「こういうのを、言うことはすごいが、やることはそれほどでもない、眼高手低というのだな」と思った。

そして言えるのは、彼はおそらく他人を使ったり、意見を聞いたりすることができないのだと思う。
折角、デビュー直後の秋吉久美子(しかも全裸になる)を使いながら、出資者とのトラブルで公開ができず、話題にもならず相当に時間がたってから公開されるなど、実に世渡りの下手な人なのだ。

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