横浜市港湾局管財第一係長時代、ある日突然国から呼び出された。
当時、横浜市と首都公団とは、首都高・ベイブリッジの横浜市港湾局部分の土地の処分について争っていた。
我々は、横浜市の土地の上に高速道路を作るのだから、当然に土地代を払ってくれという話だった。
ところが、国・建設省と首都公団は、「横浜市のために作ってあげるのだから、ただで寄越せ」と言い張っていたのだ。
そして、夏頃だったと思うが、三ツ沢の国道事務所に突然に呼び出された。
私と、担当のSさんの二人で、国道事務所に行くと、若い係長がいた。
そして、横浜市が、土地をただで出すのは当然だと偉そうに言うのだ。
まさしく、地方を見下した態度で、
「こいつは国のキャリア官僚だな」と思った。そして、何かあって国道事務所に左遷されたのだろうと。
こちらは、日々理論武装していて、法律を楯に言い返してやった。
「地方財政再建特別措置法」というのがあり、「国は地方に無法な負担をさせてはならない」というのがあるのだ。
これを説明すると、このバカは知らないので、持参した六法で説明してやった。
一時間くらいやり合って、港湾局に帰って来た。
その時、Sさんが言った。
「指田さんが怒ったのを初めて見た」
事務所に戻ると頭が痛くて、後日、医者に行くと血圧が上がっていた。
あいつのために血圧が上がったのかと思うと、さらに怒りが増してきた。
そして、その年の年末に首都公団は、全部有償で買います、と言ってきたのだ。
その年の予算を消化できないので、買うとのことだった。
約20億年分売り、最終的には一〇〇億円くらい売却したと思う。