土曜日、川崎市民ミュージアムで木下恵介の『この天の虹』を見た後、バスで川崎駅に出る。
西口に出来た「ラゾーナ」に初めて入る。東芝堀川工場跡の、巨大なショッピング・センターである。
1階から4階まで巨大な吹き抜けのアトリウムになっている。
公共部分が広く、快適な空間になっている。商品は極めて多く、種類も多彩のように思える。
若者を初め、幼児連れの若夫婦が多い。
川崎は田園都市線沿線や臨海部の工場跡などにマンションが建設されていて、少子高齢化の中で人口は微増していて、子供や若者の比率も高い。
ここの商圏は、川崎はもとより、横浜の鶴見、港北あたりまであるだろう。
客の表情を見ていると、皆幸福そうな顔をしている。
その裏にどのような事情があるかは分からないが、こうした「ハレ」の場に来た時は、幸福感に浸りたいのが人間の気分である。
木下の『この天の虹』では、大企業一家に属することが幸福だったが、ここでは豊富な商品が溢れている場を散策することが幸福であるように見えた。
それはそれで幸福なことだろう。
今の世の幸福は、こうした場で実現されるのだろうか。