今年の夏の暑さは、異常だが、全体に日本列島が暑くなっているのは間違いないと思う。
1950年代は、東京でも冬になると水道が凍り、早朝にお湯を掛けて溶かしたこともあった。
そうしないため、夜寝るときに水道を少しだけ出しておくこともした。
尊敬する永井荷風先生は、昭和19年12月27日の日記『断腸亭日乗』に次のように書いている。
日曜日。浅草に年の市立つ日なれど北風吹きすさみて寒さ甚だしければ、終日蓐中に在り鴎外先生の即興詩人をよむ。晩来風やみしが寒気甚だしく12月の夜の如し。水道蛇口の暁方の氷結して裂けんことをおそれ、深夜起きて水の滴るようにして再び眠りぬ。警報なし。
このとおりで、東京でも冬は寒かったのである。
冬の朝、学校に登校するときには、よく道路わきの霜柱を踏み歩いたものだが、今はそれもあるまい。
そのように温暖化している現在、「体に悪いから」と言ってクーラーを使わないなど、まさに信じがたいことである。