松竹京都で作られた鶴田浩二主演の時代劇、脚本は井手雅人で、監督は大ベテランの大曽根辰保。
江戸の牢獄に新たな囚人が送られて来る、主殺しで、妻と心中して生き残った男の鶴田浩二、彼は犯行を自白し、罪を認め処刑されることを願っている。
その牢獄の奉行の笠智衆は、鶴田浩二の自白を信じず、無罪だとして、あの手この手で、彼の口を割らせようとし、また証言を集める。
言って見れば、時代劇版の推理劇で、脚本の井手雅人は、新鷹会の一員でもあったので、時代考証はきちんとしているようだ。
最後は、大岡昇平原作、野村芳太郎監督の名作『事件』のような形で真実が判明し、鶴田浩二と香川京子も無事無罪になる。
「火曜サスペンス劇場」的だとも言えるが、よくできた時代劇とも言えるだろう。
獄門の囚人で、有島一郎、香川京子の夫で、卑怯未練な侍が岡田英次、その旗本仲間に須賀不二男となかなかの配役。
それにしても鶴田浩二はいい男だな、新劇一の二枚目だった岡田英次も全く相手にならない。
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