渥美清は上手いが、森川信も上手いね。

『男はつらいよ・寅次郎恋歌』と『忘れな草』を見て、特に前者での渥美と森川信との掛け合いが最高だった。森川信は、1972年3月に死んだので『男はつらいよ』では、この『恋歌』が最後になる。
ヒロインは池内淳子で、特に好きでもなかったので、見ていなかったが、今回見て彼女の愛嬌には魅了された。彼女の作品では、大岡昌平の原作を川島雄三が監督した『花影』が好きだが。
森川信は、戦前から関東・関西の舞台・映画で活躍した喜劇人で、とても芝居の上手い人である。彼については、確か坂口安吾がその芸について書いていたはずだ。
渥美とでは、本当に殺気だったようなやり取りの迫力がすごい。二人の台詞と動きには無駄が全くなく、絶妙の間で決まっている。
その後の、松村達雄、下条正巳にはそうした鋭さと迫力がない。

『忘れな草』は、言うまでもなくリリー松岡こと、浅丘ルリ子で、これも最高である。ルリ子にしか言えないような臭い台詞が沢山出てくる。最後に、彼女が結婚する相手が毒蝮三太夫の寿司屋というのが、山田洋次のキャスティングの上手さ。山田洋次は、市川昆と並びキャスティングの上手い監督だと思う。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. amagigoe より:

    お湯割りが旨いデス、
    《渥美とでは、本当に殺気だったようなやり取りの迫力がすごい。二人の台詞と動きには無駄が全くなく、絶妙の間で決まっている》

    人柄の真面目さが出てしまって(おそらく) 役者らしく見えない下条正巳はともかく、芸達者の松村達雄も おいちゃん役は似合いませんでした、(同シリーズで 医者役を やったと思いますが その時は ハマっていたと思います)、

    映画でしか観たことはありませんが、森川信さんを見るたび ホンモノの芸人という言葉が 頭に浮かびます、

    (画面のスミにあるときにも お芝居しているし)
     
    「まくらッ、さくら取ってくれ……」

    日本で屈指の喜劇役者と思います、

    ずっと自分が思っていたことを 的確に表現されていて 思わずコメントいたしました、
    ありがとうございます。

  2. こちらこそ
    コメントありがとうございます。
    森川信は、実はダンスも大変に上手で、『グランドショー1947』という松竹のレビュー映画を見ると、踊りの上手さがよくわかります。
    また、彼は非常に女性にもてたそうで、大女優の水戸光子と結婚していたのは有名ですが、白坂依志夫の本によれば、水戸はかなり情欲な女性だったそうです。