昨日は、風邪で具合が良くなかったので、録画しておいた『隠し砦の三悪人』を見る。
何度も映画館でも見ていて、黒澤明作品では一番好きで、よく知られているように映画『スター・ウォーズ』にも影響した作品で、黄金をもって敵陣を突破する、あの手、この手の構成が文句なしに面白い。
だが、その黄金を入手し、3悪人と姫が敵陣を突破する前の約1時間は、まさに敗戦後の日本だと思った。
敗北した秋月陣営から逃げてきた藤原釜足と千秋実の乞食のような姿、そこに逃げてきて落ち武者狩りに殺されて悶絶死する加藤武の武士。
落城した秋月城の廃墟、そこで黄金掘りに駆り出される敗残兵の大群衆と横たわっている死体の群れ。
これはすべて敗戦後の日本である。
そして、藤原と千秋は、コメと鍋を盗んで逃亡する。
一見単純に見える娯楽作品の裏にも、現実的な背景があったと思った。