議員への口利きと言えば、その見返りの「賄賂」であるが、40年間の市役所生活で、幸か不幸か賄賂をもらったことはない。
ただ、金銭を使った場面に遭遇したことはある。
港湾局でポートセールス担当係長の時、横浜市港湾局長を代表に、業界関係者20人を引き連れてアメリカ東海岸に行った。
ニューヨーク、ボルチモア、ニューオーリンズ港を回るため、成田空港からニューヨークのケネディ空港に着いた。
手荷物を出し、各地で招待者に渡すための記念品を入れた段ボール箱も税関に持っていく。
「これは何だ」と税関の担当者に止められた。
「ニューヨーク、ボルチモア、ニューオーリンズ港で招待者に上げるための記念品のネクタイ、バッチ等である」
「これは貿易である。正式の通関手続きを取れ」
「どうするのか、明日にはボルチモア港のパーティで使わなければならない」
「まず上屋に入れて、関税を課した後に出すので、1週間はかかるだろう・・・」
そのとき、ツアー代理店の日新航空の渡辺横浜支店長が来た、「金を渡せばいいんですよ!」
と言って担当者と交渉してくれた。
無事OKとなり、外に出たとき、彼に「いくらはらったの」と聞くと「2万円くらいですよ」とのことだった。
よく途上国の空港等では、税関職員に金を要求されることがあるという。
これは途上国は、国家に金がなく、公務員にきちんと給与を支給できないなので、その分彼らは、地位を利用して利益を得ようとすると言われている。
日本で比較的公務員の犯罪や汚職が少ないのは、人事院制度によってそれなりの給与が支払われているからである。
我々の場合は、日本人と馬鹿にして、少しからかってやろうというものだったと思う。
アメリカのような国でも、こういう連中はいるものなのだなと思った次第である。