『バンディ・マサラム』

衣笠貞之助監督の珍品映画、日本人がインド人やイギリス人を演じる『進め独立旗』の中で、インド人婦人の轟夕起子が歌うのが、「バンディ・マサラム」で、市役所にもいる、インド好きの人たちに聞き、
これがインドでは、第二国歌と言われる有名な歌であることを知る。
ラター・マンゲシュカールは、もとより、パキスタンのヌスラット・ファテ・アリ・ハーンも歌っているのだそうだ。
ヌスラットのCDは沢山持っているので、いずれ調べてみよう。

そうなると、この珍品映画は、一応音楽に関しては、きちんとやっていたわけだ。
音楽は、この頃は東宝で一番多く音楽を書いていた鈴木静一である。
彼は、黒澤明の最初の作品『姿三四郎』の作曲家でもある。
藤田進の三四郎と轟夕起子の乙美が、神社の階段で会うときに流れる抒情的なメロディーを憶えている方も多いだろう。
あれは、鈴木の主調音の一つで、
彼が戦後東宝で書いた、マキノ雅弘の『次郎長三国志』シリーズでも、抒情的なシーンでたびたび使用されている。
彼は、その後は東映に移り、時代劇の音楽を多数書いていた。
なかなか職人的な腕の立つ方だったようだ。
インド解放万歳、珍品映画万歳。

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