「この映画、好きなんだよ!」

先週の土曜日、南区大岡地区センターで、美空ひばりの講演というか、映像、音楽で彼女が「演歌の女王」ではなく、世界中の音楽を歌った歌手であることのイベントをやった。

その時、今度出す本のチラシも配布しておいたのだが、私より少し年上の男性が、チラシを持って来て言った。

「この映画、大好きなんだよ!」

もちろん、小津安二郎の『東京暮色』のことである。

夜、出版社の塚田さんとお会いしたが、「そういう人が一人でもいれば、出す意義はあるね」と言われた。

その通りで、先日亡くなられた作家の高橋治には酷評され、特に主演の有馬稲子は、役の意味され理解していないと言われたが、無名の庶民、本当の映画好きの方はきちんと作品の良しあしを見抜いているのである。

                   

                                                    

これは、『小津安二郎の悔恨 帝都のモダニズムと戦争の傷跡』として、7月末に、えにし書房から出る予定です。

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コメント

  1. なご壱 より:

    高橋治
    私も高橋治の「絢爛たる影絵」を読みましたが、どうして彼が「東京暮色」の有馬を酷評しているか理解できません。岸恵子がやれば違っていたと書いていますが、私は疑問です。かれは岸恵子が好きだったのでは。  高橋が小津と北鎌倉まで電車で一緒になったとき、どうして小津を飲みに誘えなかったんだろうと終生 悔やんでいたことは印象にのこりました。指田さんの新刊書 楽しみにしております。

  2. さすらい日乗 より:

    ありがとうございます
    今度出す本を高橋治に見せたかったのですが、残念でした。

    『絢爛たる影絵』は全体としては悪くない本ですが、『東京暮色』の有馬稲子に関しては異常ですね。何か、有馬稲子とトラブルでもあったのかと思ってしまいますが。
    小津・野田コンビは、常に「あてがき」なので、岸恵子が有馬稲子に代わった時、シナリオは直していると思います。その意味では、かなり有馬稲子に合わせた脚本になっています。
    唯一、岸恵子に向けたオリジナル部分が残っていると思えるのが、三好栄子の診療所のところです。三好に言われます。「あなた細いから」
    有馬稲子は、決して細くありませんので、この台詞は岸恵子用だっのが、そのまま残っていたのだと思います。

    拙書は、今月は無理ですが、来月早々には出せると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。