1988年5月、三軒茶屋の人見記念講堂で行われた、セルジュ・ゲンスブールの公演は非常にすごいものだった。
ステージの中央に大きな灰皿が置かれ、奥にはワインがあった。
数人の男のダンサーを従えてゲンスブールは歌ったが、その間たえず、タバコを吸い、ワインを飲んでいた。今では到底にできないコンサートだった。
1968年、ゲンスブールの主演、ジェーン・バーキンの共演で作られたのが、この映画で、フランスではヒットしたのだそうだ。今回が日本初公開だが、この音楽のLPは、ジェーン・バーキンのものとして出されたことがあり、私も持っている。
話は、テレビのCM監督のゲンスブールが、コンクールでヴェニスに来て、ジェーン・バーキンと会い、互いに愛するが、最後は別れるもの。40歳のゲンスブールには、妻子があり、18歳のジェーン・バーキンとは夢のような幸福な時を過ごすが、ヴェニスで知合ったボートの漕ぎ手の少年とバーキンはできてしまい別れることになる。
軽薄と言えば、軽薄だが、二人の魅力が素晴らしく、またパリ、ヴェニス、ナイロビ等の町のリアリティが良い。
もちろん、音楽も素晴らしい。
横浜シネマリン