『放浪記』

『鶴八鶴次郎』に続き、『放浪記』を見た。年代記もので、森光子の芸術座の芝居の大ヒットを受けた企画と、見てなかったのだが、なかなか良い作品だった。
なにより、いつも不満顔でノロノロと動く高峰秀子がすごい。
森光子も上手いが、やはり高峰の方が上だろう。森がテクニックで演じるところを、高峰は役そのものになることで演じている。技巧派と直球派の投手の違いである。
この映画は、宝塚映画の制作で、関西地方を中心に撮影されているが、もうこういう貧困の風景は撮れないだろう。
音楽が古関裕二でややセンチメンタルなのが、成瀬映画的にではないのが興味深い。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする