お説教好きの日本人

細木数子、野村サッチー、デビ夫人など、他人や出演者の問題点をあからさまに指摘することを生業としている芸人がいる。
彼らは、説教芸人であり、あれは説教芸なのである。

アメリカにも、古くはビリー・グラハム、最近ではレックス・ハンバードなどテレビ伝道師がいて、時には不治の病を治すのを見せたり(伝道者の気合いで下半身麻痺だった者が立上がったりする)、かなり怪しいこともやってキリスト教を布教している。

日本芸能史的に言えば、説教とは平安末に天台宗で始まり、浄土宗、浄土真宗で完成された仏教説話、聖人伝説等の話を庶民に面白く聞かせる「節談説教」で、これが後の浪花節の源流になる。私は、祖父江省念師等のレコードを持っている。

今日、お説教と言えば有難くないものの代名詞だが、本来は有難く面白い話であり、北陸には説教所というものがあり、説教師が巡回してきたのだそうだ。
それをテレビで毎日見られるとは、実に有難い世の中であると言うべきか。

彼らは、概ね中年のおばさんで処世術のような宣託を対象者に浴びる、まさに説教芸人と言うべきである。
それを喜んで見ているとは、日本人はお説教されることが余程好きな人種らしい。

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