『雪子と夏代』

1941年8月に公開された東宝映画作品、原作吉屋信子、脚本は八住利雄、監督は青柳信雄で、入江たか子と山田五十鈴の共演。
夫に死なれた夏代の山田五十鈴は、一人息子を婚家に残せというのを振り払って、一人で息子を育てて行くと家を出る。
行く先は、田園調布で洋裁店・スワンをやっている、これも未亡人雪子の入江たか子。
彼女は戦争未亡人らしい。
そこには、入江の義妹・谷間小百合もいて、彼女も洋裁をやっている。
この時代、洋裁は女性の自立した最先端の職業の一つだったのだ。
谷間の実家の当主は江川宇礼雄で、家の都合から谷間を、富豪らしいの御曹司の高田稔とお見合いさせる。
勿論、入江たか子が付き添って行くべきだったが、急病で山田五十鈴が谷間小百合に付添って出かける。
と、容易に想像ができるように、高田は、谷間ではなく山田と結婚したいと言ってくる。
「私に、冗談じゃない・・・」と言う山田だが、表情の底には喜びがあるように見える。
この時、山田五十鈴はまだ24歳であり、谷間小百合は19歳なのだから、高田が山田に惹かれるのも当然だろう。
入江が、二人が結ばれるようにいろいろと奔走し、最後は山田と高田が結婚することを示唆して終わる。

この入江、山田、谷間、さらに女中の音羽久米子の4人で暮らしている家は、女性の共同体で、一種のユートピアであろう。
それが、戦前吉屋信子が人気だった理由であり、戦後は映画作品も非常に減った原因でもあるだろう。
吉屋作品は、サイレント以降、戦前は30本以上作られているが、戦後は約10本にすぎない。

映画全体が、台詞と口の動きが合っていないのが、気になるが、青柳信雄は、早撮りの監督だったので、そのせいだろうか。
それとも、製作主任(チーフ助監督)の市川崑の責任なのだろうか。
衛星劇場

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