アメリカ・ファーストのもう一つの意味は

中東問題については、放送大学の高橋和夫先生の言うことしか私は信じない。

先日、先生はトランプ大統領の言う、「アメリカ・ファースト」について、普通言われる「アメリカ第一主義」の他に、もう一つの意味があると言っていた。

それは、アメリカだけ、他は関係ないという言説で、それはトランプが言い出したものではないというのだ。アメリカに伝統的にある、「モンロー主義、孤立主義」であり、第二次世界大戦の前に、チャールス・リンドバーグが強く称えたものなのだ。

リンドバーグは、スエーデン系と言うこともあり、言わばドイツ寄りの人間で、欧州の戦争にアメリカが参戦するのに強く反対し、実際に国内で運動をしたのだ。それが、「アメリカ・ファースト・コミッティ」なのである。

アングロ・サクソン系のルーズベルト大統領は、ドイツの攻勢で苦境に立つイギリスを助けるため欧州の戦争に参加したかったが、アメリカ国内にはリンドバーグに象徴されるような強い反対意見があり、第二次世界大戦になかなか参戦できずにいたのだ。

この時、アメリカの参戦を助けたのは、実は日本の真珠湾攻撃なのだ。これには米国議会も賛成になり、リンドバーグも兵士として参加する。

この時、もしアメリカではなく、「南進主義」としてイギリスにのみに宣戦布告していたら、アメリカは参戦できず、最終的に日本の敗戦もなかったかも知れない。

これは、実に興味深い考えである。「歴史にもし」はないが、これとドイツ、イタリアとの三国同盟がなかったら、日本の敗戦に至る歴史はなかっただろうと私は思う。

いずれにせよ、アメリカのリンドバーグの意見のように、自由な言論がなかった日本の戦前ではありえなかったことだろうと思う。

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コメント

  1. 月の罠 より:

    今年の5月に亡くなったフィリップ・ロスが、2004年に『プロット・アゲンスト・アメリカ』という小説を書いてます。もしも1940年の大統領選挙で、現職のルーズベルトが破れ、新ナチ・反ユダヤ主義の大西洋単独無着陸飛行に初めて成功した英雄チャールズ・リンドバーグが大統領に就任したら、という架空の歴史を題材にした内容。この時点では、まだ収容所での大量殺戮が判明していないヒトラーは非常な人気者であったことや、現大統領の煽りを受けて(グローバリスト!)、今のアメリカも反ユダヤ主義が高まり、ついに先日ピッツバーグのシナゴーグで高齢者ユダヤ人への銃撃事件が起こったことなど思うと、切実です。ロスはユダヤ系アメリカ作家で、ノーベル文学賞候補の常連でしたが、私生活での女性関係が問題視され、受賞に至らなかった云々という説もあります。