映画『変奏曲』の主演男優は、画家佐藤亜土だと書いた。
佐藤亜土がどういう画家だったか、私は全く知らないが、作品の一つはよく知っている。
何故なら、横浜市庁舎の二階のロビーの壁に、彼の手になる大きなパネルが飾られていたからだ。
それは、赤と白の板で、波を抽象化したような模様になっていた。
多分、横浜の海や港をヒントにしたものだったのだろう。
佐藤亜土は、オペラ歌手で「カルメンお美し」と言われた佐藤美子の息子で、多分当時の飛鳥田一雄市長と佐藤美子が知り合いだったので、市の金で買ってあげて市庁舎に飾ってあったのだろう。
これを見たとき、彼など大した画家じゃないと即座に思った。
何故なら、母親の顔で絵を買ってもらう画家など大した奴じゃないのは当然だからだ。
そのパネルだが、いつの間にかなくなり、今は何もない。
聞けば、あの壁自体が実は陶製の作品であり、ちゃんと見せないのはいけないのだそうだからと聞いたことがあるが、本当だろうか。