ラジオ関東の歴史で、何が意味あるかと言えば、このトーク番組である。
もし、何十年後か、日本の放送史が書かれるとき、ちっぽけなラジオ局が放送していた、この番組は必ず記述されなければならないと思う。
これを知ったのは、多分大学生だった兄からだと思う。
ある日、家に帰って来た兄は、興奮気味に「ずごく面白い番組がある」と言ってラジオのダイヤルを回した。
そして、スピーカーから流れてきたのは、大人の男女が、今まさに話している不思議な感じで、その部屋が見えるようだった。
多分、出演者は永六輔、前田武彦、そして富田恵子だったと思う。
そして、兄か姉に、「この富田恵子は、テレビの『光子の窓』のヒロイン草笛光子の妹で、新劇女優なのだ」と教えられたと思う。
こうしたゴシツプの一つ、一つは、芸能界への遠さを現していたが、だが今聞いている『昨日の続き』は、その世界をすぐ側のことのように感じさせていた。
だが、なぜか番組は間もなく終了してしまった。
突然、そのとき宝物がなくなったように感じられた。
でも、ラジオ関東には、まだまだ面白い番組があった。
夜12時からは、DJがあり、12時半からは、季節ごとに変わるポピュラー音楽の紹介番組があった。
夏は、勿論ハワイアンで早津敏彦さん、秋はラテンで低音の中村とうようさん、その他タンゴ、シャンソンなどもあったと思う。
そして、15分後には、本多俊夫の『ミッドナイト・ジャズ』が、チコ・ハミルトン、クインテットの演奏で始まる。
ここで、私はモダンジャズを知り、若者はジャズの虜にならなければいけないと固く信じるようになった。
ラジオ関東も開局50年だそうだ。
私が年とるのも当然だった。