正月には歌舞伎を見たい。
だが、今年は歌舞伎座改築のため、「さよなら歌舞伎座」のイベントが2日から行われていて、2日はないので、仕方なく東劇のシネマ歌舞伎に行く。
勘三郎の『らくだ』と『連獅子』
『らくだ』は、落語ネタだが、なんと我が劇評の師と勝手に決めている岡鬼太郎の作で、昭和2年に中村右吉衛門で本郷座で初演したものとのこと。
長屋で嫌われ者のらくだが死に、その葬式に因業な差配から酒、肴を取ってくるため、ヤクザ(坂東三津五郎)と屑屋(中村勘三郎)が、差配の家に、らくだの死体を担いで行き、差配夫婦を脅す話。
ヤクザの脅しだが、同時に物すごいブラック・ユーモアでもある。
岡鬼太郎が、こんな話を書いたなど少々信じがたいが。
『連獅子』は、勘三郎・勘太郎親子が獅子として踊るもので、日本版『ライオン・キング』。
筋はほとんど分からなかったが、それでも感動できるのは歌舞伎役者の芸のすごさである。
東劇は、戦後は空襲で焼けた歌舞伎座に変わって戦後すぐは歌舞伎をやっていた。
その後、歌舞伎座が再建されると映画館になっていて、ここで『ニュールンベルグ裁判』を見たことがあるが、古い立派な劇場だった。
その後、ビルに建替えられた後でも、ミュージカル『コーラス・ライン』を見たことがある。
今は、シネマ歌舞伎が中心の劇場になったようだ。
シネマ歌舞伎は、ハイビジョン撮影の画面で歌舞伎を見せるもので、画面は素晴らしいが、やはり実際に見るものとは感動が違う。