俳優の小沢昭一が亡くなった、83歳、前立腺ガンだそうだ。
実は、お会いしたこともないが、私がいた大学の劇団の創立者は、小沢昭一や今村昌平らだそうで、私も遠い後輩ということになる。
先日見に行った斉藤真さんが現在は代表の劇団俳小も、昔は俳優小劇場といい、小沢昭一もその一人だった。
小沢昭一がすごいというか、偉いのは、自分の分をよく知っていたということである。
彼は、俳優として沢山の舞台、映画、テレビ等で活躍したが、ほとんど脇役である。
全盛期の日活に出ていたので、石原裕次郎や小林旭などの大スターの前では、自分は到底主役にはなれないと思ったに違いない。
先日も中平康監督の『あいつと私』、さらに西河克己の『エデンの海』を見たが、いい年をして大学生と浪人生の役の怪演で笑いを取っていた。
映画では、今村昌平監督の『人類学入門・エロ事師たち』、西村昭五郎監督の『競輪上人行状記』くらいしか主演作がない。
小品の喜劇では春原政久監督で田代みどりと共演した『ポンコツ親父』などというものもあったが。
増村保造監督の『痴人の愛』では、安田道代の肉体に溺れる真面目サラリーマンを演じたが、これは主演と言えるかどうか。
いずれにしても、俳優としては脇役に徹したのは偉いと思う。
その分というか、話芸や大衆芸能の分野では縦横無尽に活躍された。
ラジオの『小沢昭一的こころ』が代表的だが、レコードでの話芸や語り芸の研究、収集、実演では、この分野の開拓者の一人であることは間違いなく、今後も長く残るに違いない。
私は、多数のカセットテープ、CDを持っているが、どれも大変面白い。
やはり、人間には、持って生まれた才能というものがあるもので、それを見つけて、生きていくことが重要である。
その意味では、野田佳彦総理大臣との党首討論で、あの程度の予期せぬ逆襲であたふたしてしまった安倍晋三が、総理大臣になって良いのだろうか。
いざというとき、あのように度胸のない首相で平気なのだろうか。
世襲議員が問題になっているが、勿論いくらかは、そうした議員がいても良い。
会社や役所でも、偉い人の息子、娘はいて、それなりに活躍されている。
だが、そうした世襲の二世、三世ばかりが権力の中心では、異常というほかはないのだから。