大傑作だった

川崎市民ミュージアムで、江波杏子主演の『女賭博師・絶縁状』を見たが、大傑作だった。
脚本長谷川公之、監督田中重雄。
江波杏子の大滝銀子は、賭博師大会(そんなものがあるわけないが、準決勝、決勝とやったらしい)で成田三樹夫に破れ、元名人の島田正吾の下で修行する。
この過程が、面白いが、これは黒澤明の『姿三四郎』だと思う。
その下宿の主が、鳳圭介・京唄子という上手さ。

晴れて一人前になり、銀子が賭場に出ると人気を呼び、ついには悪の親玉の安部徹からも声がかかる。
本当は、したくなかったが、かつて自分がイカサマを見破り賭博師として失格した長谷川裕見子を救うため、安部の賭場でサイコロを振る。江波の弟の平泉征が、鶏闘をやっていて、それのイカサマに安部たちが絡むのも挿んである。
そして、最後、弟の平泉征らを救うため、成田三樹夫とすべてを賭けた賭博をやる。
その夜は、姿三四郎と桧垣兄弟が薄が原でやったように、嵐の夜だった。
そして、江波は成田についに勝つ。
実は、島田の娘だった長谷川は、江波の身代わりになって安部の手下の投げたナイフで死ぬ。これなどは、時代劇のお約束だが、実に上手く使われていた。
晴れて銀子は、賭場で手本引きをしていく。

大変上手く出来た作品で、本当に驚いた。
東映やくざ映画の陰で、大映のやくざ映画は、ほとんど注目されなかったが、こんなに優れた作品があったとは知らなかった。
音楽鏑木創。
今やメタボおじさんの平泉征が、軽薄な若者で笑える。

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