『マギーの博物館』


劇団俳小の公演は、シアターサンモールで、行くと「たけし軍団」公演で、同じサンモールでもスタジオで、地下まで、代表の斎藤さんがエレベーターで案内してくれる。
「斎藤さんは、出ないんですか」と聞くと、
「もう若者時代で、今度のは良いよ」とのこと。
「大谷、村上の時代ですからね」

時代は、1940年代のカナダ東部のノバスコシア、ここは元はフランス領だったが、戦争でイギリスに負けて、ここにいたフランス系の人は、アメリカ東南部に行き、それがアルカジアになる。
炭鉱夫の娘のマギーの語りで進行する。
鼻たれと呼ばれていたマギーのところに、ある日、大男のニールがやってくるが、バグパイプを持っている。
彼は、戦争から帰還したところだと言うが、これが1次大戦か、二次大戦かはよく分からず。
イギリス下の諸国では、意外にも徴兵制は、1次では行われておらず、本国以外のカナダ、オーストラリア、インド等の志願兵でイギリス軍は構成されていたのだが。
ぼろ小屋の家には、元工夫で、事故で寝たきりとなっている祖父がいて、ニールがバグパイプを吹くと狂喜するように、この家の人間は、アイルランド・スコットランド系なのだろうと思う。
日本では、石炭産業は、意外にも高給与だったのだが、カナダ等では低賃金のようだ。
マギーの弟のイーアンは、組合運動に熱心だが、賃上げなどはなかなか上手く行かない。
そして、遂にはニールも炭鉱夫になって働きだすが、事故で二人とも死ぬ。
その時、マギーは、大量のホルマリンを買ってきて、祖父とニールの肺、イーアンのペニスを切り取ってホルマリン漬けにする。
マギーは、その罪で服役するが、後に石炭博物館とする。
今村昇平の映画『にあんちゃん』で始まり、大島渚等の映画『愛のコリーダ』で終わる劇だったが、非常に気分の良いできだった。

作・ウエンディ・リル、演出吉原豊司 サンモールスタジオ

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