フィルム・センターはピントを合わせろ!


『地上』が終わって千石で昼食をとり、地下鉄を乗り継ぎ無事京橋のフィルム・センターに行き、稲垣浩監督、阪妻主演の『江戸最後の日』を見た。
だが、これが大失敗だつた。ピントが全然合っていないのだ。途中で集中力をなくして寝てしまった。センターは日本で唯一の国立映画施設である。そこのピントが合っていないとは誠に情けない。
役者の顔で判明したのは、阪妻の他、志村喬、原健作程度、あとはぼけていて誰だか分からない。
これなら、そのまま三百人劇場に残って『夜の河』と『48歳の抵抗』を見たほうが良かったが、『夜の河』は何度か見ていて、この映画が余り好きではないので、阪妻が勝海舟を演じる『江戸最後の日』にしたのに。

タリーズで休んだ後、再びセンターに行き、受付で一応ピントのことを言い、『壮士劇場』を見る。
これは、ピントも大体合っていて、なかなか面白かった。
明治時代に、自由民権運動から壮士芝居をはじめ、後の新派を創始した角藤定憲(すどうさだのり)の一代記。角藤を阪妻が演じる。
昭和22年の新憲法制定記念映画だそうで、当時の映画人は結構意識が高かったと感心させられる。
今、日本映画でそうした記念映画があるだろうか。
この秋には、介護保険法の改正が行われるが、改正記念映画を作った時に高倉健は出るだろうか。
原健作や、その他後に大映ではなく、東映京都作品で見る役者が沢山出ている。
東映京都は随分と京都の古い役者たちを再生していたわけだ。

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