久しぶりのピンボケ上映に遭遇したので、昔の日本の映画館のいい加減な上映について思い出した。
フィルムセンターがピンボケ上映だったと書いたが、昔はピンボケ上映はいくらでもあった。
もっとすごいのがいくらでもあり、巻を間違えて上映してしまうもの。飛ばしてしまうもの、などもあった。
私が体験したので、すごかったのは入れ替えて上映したため、筋が不明になってしまったもの。エリア・カザンの名作『草原の輝き』。ウォーレン・ビィーティとナタリー・ウッドの恋愛劇で、ビィーティーはカンザスの石油成金の息子で、ウッドと別れて東部の大学に進学する。
ところが29年の大恐慌で会社は倒産し、親父は息子に会いにきて自殺する。ところが、この件を逆に上映したのである。死んだはずの親父がまた出てきたのだ。私は、2度目だったので、すぐこれは間違いと気づいた。他の観客は理解できただろうか。
東京蓮沼にあった映画館でのことである。
横浜では何度か同じ巻を上映したのに遭遇した。
佐藤純弥監督の『君よ憤怒の河を渡れ』。恐らくどこかの館と掛け持ちだったのだろう、私が入ると観客が騒いでいた。「また同じところをやっている」
後半の高倉健の逃走のシーンだった。伊勢佐木町の横浜松竹(今はなく、パチンコ屋のところである)である。
私は、途中から見て、再度最初から見たので筋は分かったが。
まあ、二番館は大体ピンボケだったようだ。
私が、シネコンを支持するのは上映状態がとても良いからである。