2年前に書いた、井上瑤こと漆川由美の声について、竜之介さんから書き込みをいただいた。
まことにありがたいことである、こんなサイトにも書き込みがあるとは。
さて、井上遥の声だが、普段は比較的普通だったと思うが、身長150センチくらいの小柄だったので、やや高い声だったかな。
感情的になると、ややキンキンした硬い声になった。
私は、ジェームス・ボールドウィン作の『白人へのブルース』で、彼女と同じ舞台に立ったことがある。
この劇では、彼女は悪役側の白人の妻で、終始怒っている役だったと思う。
私は、黒人少年その1で、まったくのガヤ。台詞は、二ことくらいだった。
この小柄で童顔だったことが女優をやめて、声優になった理由だと私は思う。
由美と同学年にMという冗談好きの男がいた。
そいつの言葉では、
「最初、この劇団に入ったとき、由美を見て、ここには子役もいるのか、東京の学生劇団は違うな」と思ったそうだ。
だが、童顔は見かけだけだったそうだが。
私が劇団に入る1年前、テネシー・ウィリアムズの『地獄のオルフェウス』の公演があり、彼女は主役のレディを演じた。
見た先輩の話では、その性愛は「おままごとのようにしか見えなかった」とのことだった。
言うまでもなく、この戯曲は性的抑圧と不満をテーマにしているので、成熟した女性に見えなかったのは大問題であろう。
多分、その辺で女優としての限界を悟り、声優になったのではないかと思う。
あの童顔では、普通の女性は演じられず、役柄がきわめて限られたものになるからである。
声は、高校時代から芝居をやり、発生訓練をきちんとしていたので、どのようにも自由自在に出せたと思う。
彼女は、一時期日本航空の機内放送の音楽番組のナレーションをやっていたが、それなどはかなり低い声でやっていたと記憶している。
あえて言えば、地声は田中好子に似た感じだろうか。
田中は、かなり低い声なので、もう少し高い感じだろうか。
いずれにしても、声優として大きな人気を得た理由に、彼女があまり女性らしくなかった、少年風なところがあったことがあったと私は思うのだが。
コメント
Unknown
こんにちは!
とてもご親切なご返答有難うございます。
まさかこういった仕方で応えて下さるとは思っていなく、感激しています。
以前の記事にもありましたが、指田さんは、井上さんとは知り合いだったのですね。
自分は幼少期から、彼女の声が心底大好きでしたが、一度も地声を聞いたことがありません。そのまま彼女はお亡くなりになり、当時12歳だった僕は、酷く悲しんだものでした。
それでこうしてたずねる結果になりましたが、やはり、井上さんの声は中性的なようですね。
女性的な色っぽい声も出せるけれど、その核が中性的で、少年なら十分演じられるな、と前から思っていました。
容姿に関しては、著作から拝見しましたが確かに小柄で、よく子供と間違えられたとか。
それは成人して、何年経過してもまったく変わらなかったようです。
演じ方に関しては、作った風がなく、とても上手だと、個人的に感じています。
笑い声やしゃくりあげたような発声など、声音はかなり柔軟なようで。
数曲、何か歌われていれば、声の判別もつきやすかったんですが…。子供向けの歌ならともかく、シリアスなのはないようでした。
いずれにしても、こうしてご返答を下さったことに、心からお礼申し上げます。有難うございました。
Unknown
知り合いと言っても、彼女は、劇団NO.1の女王様。こちらは、下々の者というレベル。
『水戸黄門』で言えば、由美かおると農民その1くらいでしょうか。
よくは知りませんが、彼女は男運がよくなかったようですが、それには詳しくないので、書きません。
Unknown
はじめまして。
井上さんとお知り合いだったそうですが
どんな些事でもいいので彼女について思い出すことがあれば
教えていただけないでしょうか
大変なものですね
井上遥こと、漆川由美は本当に人気があったのですね。
さて、前にも書きましたが、学生劇団の女王様とガヤのその1くらいの間柄です。
でも、不思議なのは、高校時代に彼女の芝居を見ていることです。
都立八潮高校演劇部にいて、そこに私の中学の同級生もいたので、見に行ったのです。全く憶えていないのですが、見たとき、私は「彼女が一番上手い」と言ったとのことです。
高校生当時から演技は非常に達者で、大学の学生劇団では、物足りなかったのかもしれません。
その辺が、タレント、声優に行った理由ではないかと私は思いますね。