12月は、忠臣蔵で相変わらずテレビでも新作が放映されている。
今回の売りは、田村正和の内蔵助だが、これはやはり違うと思う。
見ていて、田村・内蔵助で、一番ぴったりだったのが、祇園で石田ゆりの太夫と遊ぶ件だけとは、やはり日頃の役者の柄というものは、恐ろしい。
内容的には、有名なエピソードをつなげただけのもので、実録でも大胆なフィクションでもない、あえて言えば講談、あるいは浪曲ネタ忠臣蔵と言うべきだろうか。
東映京都撮影所で撮影したらしいが、セットがひどく小さい。
溝口健二の『元禄忠臣蔵』が江戸城松の廊下を原寸大に作ったのと比較するのも可哀想だが、このドラマのセットの規模は、「四畳半忠臣蔵」とでも言うべきか。
時代考証などとは言いたくないが、本所吉良邸の絵図面を盗み出した娘おみよと恋人岡野金右衛門が、自分の家の前でそれを開いて中を見る。
大体不用心だし、当時の江戸の町には街灯もなにもなかったのだから、真っ暗なはずで、とても見えたとは思えない。
脚本家はテレビのライターらしいが、監督は斉藤光正である。この人は日活末期に太宰治の娘を主人公にした吉永小百合主演の『斜陽のおもかげ』でデビューし、『女の意地』等、数本を撮ったが、すぐにテレビに行った。
どおりで、梶芽衣子が、戸田局で出ていたはず、彼女は、斉藤作品で主演がある。
テレビ朝日