テレビ朝日55周年とやらで、黒澤明作品のリメーク『野良犬』が放送された。
脚本は、池端俊策で、演出は鶴橋康夫というコンビである。
主演の拳銃を盗まれた刑事は江口洋介、犯人のスリは柄本祐であり、この二人は、呉の中学の同級生だった。
その中学の野球部の主将で、成人してからも悪をつくすワルが、中村獅童である。
つまりこの劇は、犯罪の裏に中学時代のいじめが隠れているという構造になっている。
黒澤の『野良犬』のリメークとしては、悪くない書き換えであると思う。
なぜなら、黒澤の原作映画には、黒澤自身の戦争に行かなかった事への贖罪意識があり、これを抜いいてしまうと、ただの犯罪ドラマになったしまうからである。
江口洋介には、中村獅童が柄本祐に対して行った暴力行為、いじめを見ているだけで積極的に救わなかったという罪悪意識がある。
役者では、悪役の中村獅童が良かった。
この『野良犬』は、1973年に松竹でもリメークされていて、監督森崎東、主演は渡哲也で、出来はイマイチだった。
この時リメークさせたのは、黒澤プロダクションが映画『どですかでん』の不入りで苦境にあったためだそうで、今回も黒澤プロダクションは経済的に大変なのだろうか。
テレビ朝日
コメント
Unknown
「BS3 『開かずのトランク』 本多猪四郎」より抜く
「・・・山一つ向ふには王鳳郭の一派が居ると云ふ 朝から雨だった
途中上等兵が鮮人の若者を銃劍で突き殺す 鮮匪は中々大たんな行動をするらしい
しかし三名は射殺された 秋空のもとでノンビリとこんな記事を書いている 俺も現在の生活になれてしまったのだ
と云っても平気でいられなければ気でも狂うか自殺でもしなければならない・・・」
親友黒澤明からの手紙――
「・・・実際に戦っている兵隊の苦労はしょせん内地にいちぁわかる訳がない
すまんすまんと云うより外はなくそれもまた何か白々しく
結局心の隅の方に絶えず戦っている兵隊さんのことが良心の呵責のやうに積りつもって行く・・・」
『開かずのトランク』
失礼しました
先ほどの投稿に名前が抜けていました