「女は35をすぎたらもういけねえ」

市川亀冶郎が、市川猿之助を襲名し、香川照之が市川中車になると聞き、「あれッ」と思った。
だが、調べると市川中車は、先代の市川猿之助(猿翁)の二男で、市川八百蔵のところに養子に入り、その後市川中車を襲名したもので、現在の市川猿之助にとっては、中車は叔父に,香川照之には大叔父なるわけだった。

この市川中車は、上手い脇役で、東宝の映画『忠臣蔵』では、吉良上野介を演じており、悪役や好色な役が得意だったので、演技派香川照之には、相応しいかもしれない。

市川中車は、松本幸四郎一門にいたので、一門が昭和30年代に、松竹から東宝に移籍したときは、一緒に東宝演劇部に入った。
また、彼は、上手い役者だったが、歌舞伎界一の好色家として有名で、東宝に入りに大賛成だったのが中車だった。
なぜなら、東宝には若い女優が沢山いたからである。

そのとき、東宝の演劇担当の重役菊田一夫は、女優たちに向かって、
「あの爺さんの近くに寄ってはいけない」
と厳命したが、皆大笑いだったそうだ。
菊田一夫も、多くの若い女優と浮名を流していたからである。

その市川中車の台詞が、
「女は35をすぎたらもういけねえ」である。
今は、35歳といっても大変若いが、昭和30年の35である。
千谷道雄の『幸四郎三国志』に書かれている挿話。

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コメント

  1. Unknown より:

    Unknown
    先代の中車は先代猿翁の弟ですよ。

  2. さすらい日乗 より:

    ありがとうございました
    そうでした、二世市川段四郎の次男で、最後は猿翁になる猿之助の弟でした。