正月の1日に、富士五湖と神社めぐりのバス・ツアーに行った。
横浜駅東口から出て、まず富士宮市に行く。
途中の東名高速道路では、高価なスポーツカーが何台もバスを追い抜いて行く。
新年のクルージングをしているのだろうが、車にまったく興味のない私には、ただ「高い車なのだろうな」という感想しかない。
昔、フランス文学者の鹿島茂が、「車の値段と知能指数は反比例する」という説を言ったことを思い出す。
これは、高い車を持っている人間ほど、低脳な奴が多いという皮肉である。
さて、最初の富士宮の富士山本宮浅間神社は、適度の大きさで、去年行った三島大社ほど大きくなくて、人でも程々で良かった。
そこから富士山の左脇の朝霧高原を抜けて富士五湖に向かう。
富士山は、太平洋側に対して大きな壁になっており、この富士宮市周辺では雪は山梨県側に降ってしまうので、冬でも雪はあまり降らない。
もう20年以上も前に、この富士山の麓の上井出の財団法人国際貿易研修センターで、冬の3ヶ月間英語の特訓を受けたが、その時も雪はほとんどなかった。
降っても午後、少し山を越えて降ってきても夕方には止まる、といった感じだった。
朝霧高原から、本栖湖に降りていくと、雪が残っている。
昨夜、相当に降ったようだ。
こちらからは雲で、富士山はよく見えない。
精進湖を過ぎて、待望の西湖につく。
ここは昨年夏の富士五湖巡りでも来たかったところだが、交通の大渋滞で、遅れたためカットされたところ。
映画『地球防衛軍』で、宇宙からの侵略者ミステリアンが秘密基地を作るところなのである。
1957年の本多猪四郎監督の『地球防衛軍』は、私が見た東宝の特撮映画、当時は空想科学映画と言っていたが、一番好きな作品だった。
「地球の皆さん」というミステリアンの低音の不気味な声と口調は家で何度も真似しては、親兄弟に笑われたものである。
西湖は、富士五湖の中では小さくて静かな湖で、いかにも侵略者が秘密基地を作るにはふさわしい場所だった。
河口湖近くの河口浅間神社にお参りした後、最後は東口本宮宣言神社で、その脇にあった、この日一番気にいった出雲社。
昔の人は、富士登山ではこういう神社にお参りし、そこの御師、山岳ガイドの案内で登ったのだろうと思う。
最後の神社には、昭和初期の四谷の講中の碑もあった。
当時の人にとっては、富士登山は、というよりも旅行に出るということ自体が、石碑を建てるような大事業だったのだと思うと今昔の感に打たれる。