『金語楼の大番頭』

1939年、東宝映画で作られた柳家金語楼主演映画、舞台は芦ノ湖に面した元箱根の老舗旅館で、その大番頭の金語楼に起きる非喜劇。
筋はひどいし、役者も大したことはないが、彼と女中頭清川虹子とのやり取りが見もので、さすがに金語楼の喋りは上手い。
彼には、別れた妻と娘があり、毎晩その写真を見ながら酒を飲んで泣き、顔をクシャクシャにするという、彼のオハコ芸を見せる。
この芸を金語楼は、実用新案の登録をしてあったそうだが、本当だろうか。

旅館なので、色んな人が来て泊まる。
成り上がりの清川玉枝一家、音楽家の上原敏と友人、デパート・ガールの週末旅行、偽絵描きの嵯峨善兵衛と本物の深見泰三。
嵯峨は、横川小観と名乗るが、明らかに横山大観のことで、本物の深見が来て嘘がばれて平謝りになるが、皮肉にも嵯峨善兵は、日本美術学校、現日本美術専門学校の出なのである。
最後、旅館の一人息子で大学生の三木利夫が婚約者として連れて来たデパート・ガールは、実は実の娘の若原春江だったというハッピーエンド。
歌手の上原敏は何もしないが、実際は実演で歌を歌ったのではないかと思う。
その意味では、実演のための映画だったのかもしれない。
衛星劇場

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コメント

  1. ss より:

    Unknown
    柳家金語楼をwikiでみると、「発明家としても著名。学童が体育の授業時に被る「赤白帽」や、爪楊枝の頭に折り取り用の切り込みを設け箸置きのようにして使うアイデアを実用新案登録し、莫大な副収入を得た。」とあります。

    特許・実用新案は、現在、特許庁の特許電子図書館の公報テキスト検索で簡単に調べられますが、「柳家」「山下敬太郎」「有崎勉」を発明者名とする特許・実用新案はありませんね。

    http://www7.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjkta.ipdl?N0000=108

    芸人ネタの一つとして、事実無根の「発明好き」を公言していただけなのでは?
    事実無根の「ホームレス中学生」をネタにしている芸人もいますからw

    >顔をクシャクシャにするという、彼のオハコ芸を見せる。この芸を金語楼は、実用新案の登録をしてあったそうだが、本当だろうか。

    これは特許・実用新案の対象外ですから、全くの嘘です。

  2. SS より:

    Unknown
    特許電子図書館は戦前の特許・実用新案には対応していないようなので、「赤白帽」「爪楊枝…」は、本当に金語楼が発明したのかもしれません。

    いい加減なコメントをして申し訳ありませんでした。

    ただし、「顔をクシャクシャにする芸」が、特許・実用新案の対象外であることに変わりはありませんが。

  3. 間違えました
    登録していたのは、薄い頭だそうで、それも意匠登録だったそうですが、そんなことができたのでしょうか。
    それは、こけしなどに、あの薄いおつむが使われていた事への対抗策だったとのことです。

  4. ss より:

    Unknown
    髪型を「人間の頭髪または人工毛髪を使用して作る髪飾り」として意匠登録した例があります。

    ですから、金語楼のすだれ禿の髪型を意匠登録したのかもしれませんが、すだれ禿の髪型は一般的なので、登録は無理な気もします。

    あるいは、こけしに使うことの対抗策なら、すだれ禿の髪型を人形の頭部の意匠として登録したのかもしれませんね。
    これなら、十分に登録可能でしょう。

    息子の山下敬二郎は最近どうしてるかと思ってwikiを見たら、既に亡くなっていました。
    古書関連の著作が多く、自分も著作を何冊か所有している作家の山下武も金語楼の息子だったのは知りませんでした。