「パナマ文書」で暴露された「タックス・ヘイブン」で、用語など難しいところもあるが、実際に国際舞台で対応してきた方なので、記述にリアリティがある。
「タックス・ヘイブン」というと、ケイマン島のようなヤシの生えた南の島を思い浮かべるが、むしろオフショア・センターと言われるロンドン等にあるヘイブンの方が問題は大きいそうだ。
また、イギリスのガンジー島、マン島、さらに英国王室領になっているカリブの島々もそうだとのことで、英国王室は莫大な財産を所有しているとのこと。
著者は、こうしたヘイブンの存在を否定していて、普通のまじめに額に汗して働き、所得から税金を納める人間からやる気を失くすので、よろしくないとしている。
この「タックス・ヘイブン」について、前大阪市長の橋下徹が非常に奇妙なことを先日、テレビで言っていた。
彼によれば、「個人がこうした制度を利用するのはよろしくないが、企業が使用するのは仕方ない」というのだ。
これは、彼ら大阪維新の会などの新自由主義者が言ってきた、法人税減税の主張が嘘だということを自ら言ったことになる。
彼らは、企業の法人税を減税し、それによって企業を誘致しようという。
だが、一時的に立地したとしても、企業は今や世界的存在なのだから、その余剰を海外の儲かるところに投資してしまい、地元には何も落ちない結果となる。
それが、グローーバル時代の企業動向なのであり、法人税減税策は意味を持たないのである。
そうした企業の行動を橋下徹は肯定しているのだから、彼の主張は滅茶苦茶で、矛盾している。
多くのことを教えられる本である。