トラック部隊

トラック部隊と言って別に、トラック野郎の集団ではなく、戦後日本共産党で非合法な集金活動をした組織のことである。中小企業に潜入して、そこから資金を党に流したり、会社を偽装倒産させたりして資金を獲得したのだ。

カメラマンたむらまさき(田村正毅)の『酔眼のまち ゴールデン街』を読んでいたら、田村が最初に入った映画会社は、人形映画製作所だったとあった。
この会社は、その名の通り人形アニメを作る会社で、『瓜子姫とあまんじゃく』等の他、テレビの初期のコマーシャル・フィルムを作っていた。テレビと言うことで、この会社には電通も出資していたらしい。
だが、ここは共産党系の会社で、レッド・パージで大手映画会社を首になったスタッフ等の拠点で、直接資金を流していたかは分からないが、失業映画人の救済事業だったことは間違いないだろう。共産党と電通が組むなど変な話だが、この辺は複雑なからくりや仕掛けがあったのだろうと思う。

そして、この会社が倒産した後、持田只仁、大村英之介、松本酉三の3人によってMOMプロが作られ、ここも輸出用アニメ等を作る。
日本のアニメ史上では、今はあまり触れられない歴史らしいが、大変重要な時代なのである。
勿論、田村も入社してカメラを担当して、人形アニメのコマ撮り撮影をやっていたそうだ。
だが、数年後会社は倒産し、社長だった稲村喜一は自殺する。
そして、田村は岩波映画の契約者となり、記録映画のカメラマンとなるのだ。

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