『ボロ屋の春秋』

ラピュタの昭和の文豪シリーズだが、全く面白くなかった。
原作は梅崎春生。「純文学」から中間小説になった時期のもの。
監督は中村登だが、全く笑えない喜劇。

唯一おかしいのが学校長・渡辺篤史の妾の小山明子で、根っからの二号的女性を演じるのが、全くのミスキャストで笑える。

ボロ屋というのは、東京郊外のドイツ人が建てた洋風のボロ屋。
持ち主の多々良純が逃亡し、彼に譲渡手付金を払った複数の人間、佐田啓二、三井弘次、小山明子らが移り住み、そこでおきる喜劇。
元ネタは、『どん底』や『グランド・ホテル』だろう。

子供と居残っている妻が三好栄子で、これが例によってすごい強情。

結局、人の良い芸術家の佐田(バイオリン弾き)は、多くの人に騙されたり、たかられたりするが、最後は恋人有馬稲子と結ばれることを暗示する。
小山明子も独身の教師・三井と一緒になる。

ともかく、一年中この程度の映画に出ていれば、小山明子がバカらしくなり大島渚と結ばれたのも理解できる。

多々良が赤穂に逃亡し、佐田と有馬が追いかけてゆき、「義士祭」の子供行列の前で芝居が行われる。その周囲の観客・見物人の数がすごい。
この程度の映画で客が来て、一般の人気もあった良き時代の作品である。

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