『日本の面影』

山田太一作、木村光一演出の小泉八雲ことラフカディオ・ハーンを描いた劇。
テレビ用に書かれ、その後風間杜夫、三田和代主演で長く公演されてきたが、今回篠田三郎、日色ともえで公演された。なかなか感動的な舞台だった。

ニューオリンズの新聞社から、日本に憧れて来日したハーンは、松江で西欧世界が喪失した美しい日本を発見する。
同時に、日本は文明開化の真最中で、「古きよき日本」を捨て西欧化しようとしている。
特に、次の任地の熊本では、地域社会との葛藤も経験し、東京の大学教員になる。
ハーンが賛美する日本のよさは、今やほとんどなくなったものであり、そんなに褒められては困ると言いたくなる。

ハーンは、近年で言えば、『アラビアのローレンス』の監督デビット・リーンからウォーマッド・フェステバルの主唱者ピーター・ゲイブリエルに至るまで、イギリスの「非西欧文化」好きの連中の開祖である。厳密にはハーンはイギリスではなく、アイルランド人だが。

イギリスから新世界に憧れてニューオリンズに。
そこでは、カリブ海のマルチニック島に行き、彼らの音楽と踊り(ビギンになるわけだが)に感動している。そして、日本である。
我ら、ワールド・ミュージック好きの大先輩としては、小泉八雲を大いに尊敬しなくてはならない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする