山田洋次監督作品。永瀬正敏、田中隆三らのいる東京に、岩手から三国連太郎がやって来る。
永瀬は、聾唖者の和久井映見と結婚しようとしている。
この、親が子供のいる東京に出てくるというのは、小津安二郎の『東京物語』と同じで、多分明らかに下敷きにしている。
山田洋次の小津への賛辞である。
山田は、若いとき(同じ松竹大船にいたころ)は、小津の映画には批判的だったそうだ。
技術的には、新しいところはなく、題材も中産階級のつまらない話と。
だが、現在は違う評価なのだろう。
この作品の永瀬と和久井、以前の『幸せの黄色いハンカチ』での武田鉄也と桃井かおり、など山田洋次は若い役者を意外な形で使うのが実に上手い。
また、三国の戦友で村田正雄が出ている。この人は、所謂大衆演劇の人だと思うが、普通の人らしい良い味が出ている。