『赤いハンカチ』は、なぜ優れているのか

先日の「映画の中の横浜」で、一番好評だったのは、1964年の『赤いハンカチ』だった。

ここには、横浜の定番の新港ふ頭、山下公園、ホテルニューグランドの他、野毛山遊園地、さらに県立図書館なども出てくる。

しかし、この映画は結構理屈が多く、主演石原裕次郎は、「自己を取り戻す」などの台詞を言う。

それはなぜだろうか。

この映画の脚本は、小川英、山崎厳、そして舛田利雄となっている。

だが、初稿ができた時、プロデューサーの水の江滝子は、出来が気に入らなかった。

そこで改訂を田村孟にさせた。大島渚の盟友というべき田村であるが、当時は松竹を辞めて遊んでいた。

当時、田村は日活で、同じ舛田の映画『狼の王子』や前田満州男の『人間に賭けるな』などの脚本も書いている。さらに、野村孝の『未成年・続キューポラのある町』の脚本も田村のものである。

要は、水の江滝子の脚本家を見る目の確かさだが、当時の映画界の度量の大きさを表すものだと思う。

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