『あの橋の畔で』

菊田一夫原作、桑野みゆき、園井啓介主演のメロドラマ。テレビが元で、松竹で映画化され大ヒットし第4部まで作られた。

許婚の桑野・園井が、周囲の様々な妨害とすれ違いで一緒になれず、桑野は金持ちの息子穂積隆信と結婚させられる。
学生の二人が集う場で歌われるのが『雪山賛歌』で、スキーも。
スキーと言えば、トニー・ザイラーで、松竹は彼を招聘して作った映画もあった。

園井を慕う看護士に左幸子、建築家の園井と心中する酌婦に渡辺美佐子、穂積の愛人秘書岩崎加根子、その他千之赫子、浅茅しのぶ、宇治みさ子など大変贅沢な配役。
その他、社長の石黒達也、姑の沢村貞子、義兄の南原宏次など、悪役も豊富で楽しい。
傷心の園井が行くのが北海道夕張市で、当時最盛期で、人口も10万を越えていたらしいが、今や1万人であるのだから、「倒産」するのも当然なのか、

園井が記憶喪失となり、北海道からの上京に付いてくるのが、天才子役中山千夏で実に上手い。
園井に付いて左が来ると、「どうして世話する女の人が出てくるの」中山の台詞には、笑った。

脚本は野村芳太郎監督と山田洋次。撮影川又昂、音楽古関祐二。
「あの橋の」とは、勿論数寄屋橋のことで、ちょうどこの頃、川が埋立てられ菊田一夫書の碑が建てられた。ここに二人は手を置き、結婚を誓う。
すなわち、『君の名は』と『愛染かつら』を混ぜたような話だが、第二部では桑野の別居、離婚裁判劇が中心。

園井は、本来どうしようもない二枚目役だが、こういう役を照れずに堂々と演じられるのは凄い。小林旭に匹敵する。

第三部は、確か「哀愁のアンコールワット」という副題があったはずで、今日これから川崎市民ミュージアムに見に行く。

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