『西洋鏡』

『西洋鏡』とは、中国で活動写真のこと。20世紀のはじめ、フィルムを持って中国に来て映写したイギリス人レイモンドと助手、友人の中国人リュウとの話。
有名なルミェール兄弟のフィルムの、庭園での水撒きや駅に来る蒸気機関車など、映画初期の貴重な映像も多数。

北京の大写真店の使用人のリュウは、偶然見た活動写真に心惹かれ、手伝う内に助手になってしまい、写真店をクビになる。
写真店は有名な店で、京劇の大俳優を撮っているが、中には西太后の記念撮影もする。
その席で、リュウらは映画を上映し、西太后からも誉められるが、火事を起しレイモンドは国外追放になる。

6ヵ月後、レイモンドからリュウに中国での撮影フィルムが送られてくる。
彼はそれを上映し、大成功をおさめる。
中国での映画初期の歴史であり、どこまでが史実に忠実なのかは不明だが大変興味深い。
活動写真に一喜一憂する中国人が面白い。
見て分かるのは、映画は、本質的に「動く写真だ」ということであり、「見世物だ」ということである。

さらに、興味深いのは、リュウが店をクビになったとき、リュウに向かいレイモンドが「お前はすでに他の中国人とは違う」と言うこと。
映画によって、他の世界の文化や人間を知った者は、すでに伝統的な人間ではないのだ。

昔、松竹映画で『活弁物語』というサイレントからトーキーに移行するときの、伴淳三郎ら弁士たちの作品を見たことがあるが、それを思い出した。
衛星放送

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