1965年、イタリアの映画監督フランチェスコ・ロージーの作品、スペインの闘牛士を描いたドキュメンタリー的な映画。
スペインの田舎の若者ミゲルは、貧しさから脱出するため闘牛士になる。
運良く有力興行師に認められ、闘牛士としてデビューし、次第に成功を収める。
社交界との付き合い、仲間との争い、女性からの誘惑など、闘牛の世界を巡る様々が記録的な映像で刻銘に描かれる。ロージーは、ドキュメンタリー出身なので、闘牛のシーンの描き方はすごい。
主人公ミゲルは、実際に闘牛士らしいが、実に官能的で美しい立ち姿である。
世に、セクシーという言葉はあるが、闘牛士ほどセクシーな存在もあるまい。
何よりそれは、死と紙一重で生きているためであり、ミゲルは本当に美しい。
この映画は、なんとATGで公開されたらしいが、日本のメジャーの配給会社には美的センスのある奴はいなかったのだろうか。
私は、全く趣味はないが、三島由紀夫が泣いて喜ぶ映画である。
闘牛は、見たことははないが、極めてアフリカ的な匂いを感じさせる。祝祭的であり、人間の原初的な本能を刺激する。
フランチェスコ・ロージーは、ルキノ・ビスコンティの助監督で、左翼的な監督だが、イタリア人らしく極めて官能的な映像を作り出している。
日本で言えば、山田洋次がプロレスの記録映画を作ったようなものだろうか。