今や、高校どころか中学生でもやっているだろうが、かつて二大俳優養成機関だった俳優座養成所と文学座研究所ではアルバイトは禁止だった。勿論、実際はみなやっていたそうだが。
それだけ役者になろうというのは、金持ちの子女だったということだろうか。
だから、昼間働いて夜に演劇教育をする舞台芸術学院には、地方からの男女が多かったようだ。
だから、学生劇団の我々は、「舞芸出身はださい」などと言ってバカにしたものだ。
だが、この舞芸出身者には結構有名な者がいて、かの李麗仙も舞芸の出である。
1960年代当時、まだ大学生はエリートだったということなのかもしれない。
私は、東京大田区の生まれだが、中学の同級生で大学に行ったのは10人いない。
進学率で言えば、20%以下である。
少子高齢化で、大半のものが大学に行く現在とは相当に違うのである。