『ベルリン、僕らの革命』

フィルム・センターの今村昌平・黒木和雄特集は中休み、今週は「EUフィルムデー2007」2004年のドイツ映画。
作者たちがどういう連中か知らないが、社会を革命しないといけないと本気で主人公たちが思っている珍しい作品。

かつてはドイツに学生運動もあったが今はなく、社会的不正義や格差は存在し、また過度に贅沢があり、その一方でアジアは貧しいのが現実だ、と彼らは思っている。
共同生活する若者二人、ヤンとピーター。
彼らは、夜に富豪の家に入り、家具調度を入替え、「贅沢はやめるべき」だと手紙を残す運動をしている。ステレオを冷蔵庫に、コレクションをトイレに入れるなど。ステレオは欧州の豪華ステレオB&Oが見えた。
極めて穏便な、個人的な革命なのだ。
この辺は、すぐに党派や集団性になる日本の革命との大きな違いであり、その発想の差に驚く。

二人の間の女性ユールが負っている負債の追突事故の相手、大富豪の家に入って家具の入替えを楽しむが、そこに休暇から持ち主の中年男が戻ってくる。
この家が、湖に面し、内部にもプールがあるすごい家。
格闘の末、仕方なく彼を拉致して、山奥のユールの叔父の山荘に連れてゆく。
ここから4人の奇妙な共同生活が始まる。

男も若い頃は学生運動をしていたことが分かり、次第に理解し合う。
若者3人は犯罪を犯す気もなく、男がユールの負債を帳消しにすること、警察に通報しないことで彼を戻すことにする。
最後、若者3人もベルリンに戻り、3人の共同生活を始める。

はじめ若者の生活を描いた部分は、1970年代の日活ロマンポルノの、藤田敏八・秋吉久美子映画、具体的には『赤ちょうちん』『妹』『バージン・ブルース』の感じによく似ていた。
藤田敏八映画は、先進国の若者を描いた作品としては、普遍性がある、と言うべきなのだろう。藤田作品を見直した。
それにしても、館内はガラガラだった。

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コメント

  1. NO.115「ベルリン、僕らの革命」(独/ハンス・ワインガルトナー監督)

    {/hiyo_oro/}レジスタンスを「アート」する、繊細な若者たち。
    ドイツからは実に11年ぶりにカンヌ出品作だという。まず、そのことに、驚き。日本人の幸福な錯覚かもしれないが、今村昌平監督以来かもしれないが、日本映画はカンヌ出品が常連となっているからだ。ドイツに…